映画「日日是好日」ー人生の機微がお茶のように体に染み渡っていく
「日日是好日」を観てきました。(イオンシネマは毎週月曜日、全作品1,100円^^)
樹木希林さんが亡くなられたあと放送されていたNHKのドキュメンタリー番組で、「万引き家族」で底辺を這うような老婆を、そしてその翌週から「日日是好日」で所作の美しいお茶の先生、まるで真逆ともいえそうな役を演じていた姿が印象的で、ぜひ映画館でと思っていた映画です。
ー雨の日は雨を聴く。 雪の日は雪を見て、夏には夏の暑さを、冬は身の切れるような寒さを。 五感を使って、全身で、その瞬間を味わう。
簡単にわかることとわからない事の違い、頭で考えず体に覚えさせることの意味、一期一会の大切さ、同じことを繰り返しできる幸せなど、人生の機微がお茶のように体に染み渡っていくような、心静かになれる映画でした。
世の中には、「すぐわかるもの」と、「すぐわからないもの」がある
所作の一つ一つが細かく正確さも求められる茶道。そこに意味や理由を求めたくなりますが、映画に登場する武田先生曰く、「意味なんてわからなくていい。まずは『形』から。先に『形』を作っておいて、そこに『心』が入ればいい」と教えます。
世の中には、「すぐわかるもの」と、
「すぐわからないもの」の二種類がある。すぐにわからないものは、長い時間をかけて、
少しずつわかってくる。
茶道の複雑なしきたりの数々は頭でわかろうとしてもうまくいかない。体で覚えるしかない。でも、それを続けていくうちに、ある日ふと、今まで感じなかったことに敏感になっていく。
なんでも頭で考えて理解しようとするのではなく、ゆっくりでもいいから、長く何かを続けるというのは大切なことだなと思いました。
こうして毎年、同じことが出来ることが幸せ
武田先生が映画の最後のシーンで語っていた言葉は、樹木希林さんの言葉のようで印象的でした。
こうしてまた初釜がやってきて、毎年毎年、同じことの繰り返しなんですけど。
でも、私、最近思うんですよ。こうして毎年、同じことが出来ることが幸せなんだなって
また、「一期一会」という言葉は茶道に由来しており、千利休が茶道を極めた戦国時代は今のような通信や交通の手段はなく、次いつ会えるか、生きて会えるかもわからない時代です。 茶会に臨む時には、その機会は二度と繰り返されることのない、一生に一度の出会いであるということを心得て、亭主・客共に誠意を尽さねばならないことを意味するそうです。
さいごに
「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」。禅語のひとつで、これは、「毎日がよい日」というよりは、よいことも悪いことも、日々をあるがまま「好し(よし)」とする、そんな意味があるそうです。
1日 + 1日 + 1日 ・・・が私たちの人生。 同じことの繰り返しのようでも全く同じことは二度とない、だからこそ、今この瞬間を大切に。
と頭ではわかっていても、日々の些細なことはついおろそかにしてしまいがちです。 丁寧に生きていくことを心がけたいと思いました。